【完】彼を振り向かせる方法
しかも今のこの状況、カケちゃんが私を守ってくれているように捉えてしまう。
そして、背の高い彼の後ろ姿にいますぐ抱きつきたい。
そんな衝動にも駆られてしまう。
襟足も超かわいいし……ずるいよ、カケちゃん。
「え、なに?翔と上条さんってデキてんの?」
今はカケちゃんの背中に遮られて見えない尻無浜くんの声。
周りには誰もいないのに、なぜかヒソヒソしていた。
「……うるさいっ、それより早く部屋入れ」
「ちぇー。わかりましたよ〜だ」
拗ねるような言い方でも、カケちゃんの指示にすんなり従う尻無浜くん。
クラスにいるときも感じていたけど、2人って本当に仲良しだ。
冗談と本気の温度がしっかり調和している感じ。
2人を見ていると、漫才みたいでちょっと面白いしね。
「じゃあ……ヒロチーもどーぞ」
「う、うん」
突然カケちゃんがこちらを向いたその瞬間、
自分の頬が無意識に緩んでいたことに気がついた。