【完】彼を振り向かせる方法
「えっと……ヒロチーはそこ。しなしーはあっちね」
彼の部屋に足を踏み入れた直後。
私の後ろを護衛のようについてきたカケちゃんは、
真ん中にある長方形の白いテーブルの周りを、各々指差しながらそう言った。
私の指示された席は、ここから向かって左側。
後ろには出窓があった。
尻無浜くんが指示されたのは、私の向かい側。
そしてカケちゃんは私と尻無浜くんが座ったのを確認すると、扉に一番近い場所に座った。
つまり時計回りで言うと、尻無浜くん、カケちゃん、私、という形なわけ。
私は左隣に置いた鞄から筆記用具を取り出すついでに、首を半回転させて部屋を見渡した。
私の向かい側、つまり尻無浜くんの後ろには青いシーツが特徴的なベッドが。
そしてその上の壁にはハンガーラックが取り付けられていて、制服が一式ぶら下がっていた。