【完】彼を振り向かせる方法
「……」
「わ、私は全然気にしてないよ!男の子だし、下心があるのは当然っていうか……」
カケちゃんが黙り込んでしまったのを見て、私は無意識にそう言っていた。
そりゃあ……ちょっとビックリはするけど……。
「……ヒロチーにはそういうとこ、見せたくなかった」
聞き取るのが精いっぱいなくらい小さな声で、カケちゃんは呟いた。
親指の幅くらい開いている、窓の隙間から流れる風にかき消されてしまいそうなほど、小さな声で。
「なんだよ、らしくねーなぁ翔~」
「……は?」
「やっぱ上条さんとデキてんの?」
ドキンッ。
尻無浜くんが私たちを交互に見て言った言葉に、体中が熱く反応してしまう。
さっきも同じこと聞かれたような……。
「……違う」
しばらくして、カケちゃんがそう言った。
その通り……のはずなのに、また胸がチクリと痛んだ。