【完】彼を振り向かせる方法





「わっ……」



尻無浜くんは私が思っていたより至近距離にいたため、思わず小さな悲鳴をあげてしまった。


それと同時に、ひんやりと冷たいフローリングに右手をつく。

床が冷たいのはきっと、冷房のせいだろう。





「いつも真面目女子って感じだったから敬遠しちゃってたけど……よく見ると相当可愛いかも」


「あ、あの尻無浜くん。ちょっと近くない?」



右手を頼りに少し後ずさると、余裕のない私に気付いた彼はクスッと笑う。



「いいねぇ~ピュアって感じで。それにさ、なんか今日雰囲気違うっしょ?」


「え?」


「髪の毛とか特に」



あ……もしかして、髪を巻いてきたの気付いてくれたのかな。


本当は、カケちゃんに気付いてほしかったんだけど……。




< 292 / 401 >

この作品をシェア

pagetop