【完】彼を振り向かせる方法
「わっ……」
尻無浜くんは私が思っていたより至近距離にいたため、思わず小さな悲鳴をあげてしまった。
それと同時に、ひんやりと冷たいフローリングに右手をつく。
床が冷たいのはきっと、冷房のせいだろう。
「いつも真面目女子って感じだったから敬遠しちゃってたけど……よく見ると相当可愛いかも」
「あ、あの尻無浜くん。ちょっと近くない?」
右手を頼りに少し後ずさると、余裕のない私に気付いた彼はクスッと笑う。
「いいねぇ~ピュアって感じで。それにさ、なんか今日雰囲気違うっしょ?」
「え?」
「髪の毛とか特に」
あ……もしかして、髪を巻いてきたの気付いてくれたのかな。
本当は、カケちゃんに気付いてほしかったんだけど……。