【完】彼を振り向かせる方法
「……で、さっきはなんであんな状態になってたわけ?」
なにかを懸命に押し殺したような声で、カケちゃんは言った。
「ん?あぁいや、キスしちゃいたいなぁとか思ってさ」
「……」
「だって可愛いんだもん。いい匂いするし~」
「お前……っ」
カケちゃんは胸ぐらを掴んだまま、尻無浜くんをさらに持ち上げた。
「か、カケちゃんっ」
思わず膝立ちになって彼の名前を呼ぶ。
さすがの尻無浜くんも、少し苦しそうな表情をのぞかせていた。
「らしくないじゃん翔、余裕ねーの?」
それでも彼は、いまだに口角をあげたままでそう言った。
「……当たり前だろ」
「随分素直じゃん」
「頼むから、もうヒロチーには触れるな」
「えー、どうしよっか……」
「じゃないと俺、マジお前の事殴っちゃうかも」