【完】彼を振り向かせる方法

えー、どうしよっかなぁ。


私が思うに、たぶん尻無浜くんはそう言ってまた、カケちゃんをからかうつもりだったのかもしれない。


だけどその台詞を遮ったカケちゃんの表情は、いままで余裕を保っていた目の前の彼を圧倒させるほど、真剣だった。





「殴るとか……それは笑えねーよ翔くん」


「だよなぁ、俺も笑えないし」



牽制逆転。

今度はカケちゃんがニヤッと笑って、尻無浜くんを見据えていた。



「ったく……わかったよ。やめるってもう。"上条さん"には手ぇ出しません」


「ん。大変よろしゅうございます」




無駄にキラキラと輝く笑顔で、カケちゃんは尻無浜くんをそっと離した。




「ヒロチー、大丈夫？」


「えっ!?あ、うん、平気平気」


ホッと安心したせいか、ボーっと宙を見つめていた私。


カケちゃんの顔がいきなりどアップで映し出されたから、驚いてしまった。