【完】彼を振り向かせる方法




「し、尻無浜くん!」


「……ん?」



考えの果て、私は立ちあがろうとする彼を呼びとめた。



「あの、宿題終わらないようならその……明日の朝とか、早めに来て手伝おうか……?」


すると彼は、どうしてかカケちゃんを一瞥して


「いや……大丈夫。一夜漬けでなんとかするよ。ありがとね」


とだけ言って、リュックを背負い部屋を出てしまった。

本当に大丈夫かな……。



「ちょっとあいつ玄関まで送ってくるね」



一人思い伏せていると、カケちゃんは私の頭をポンッとなでて部屋を出て行った。



「あ……うん」


返事は完全にフライング。

だって……いきなり頭触ったりするんだもん。



熱が足の先まで下りてくるのと同時に、私は大事なことを思い出した。





今日ここに来たのは宿題を教えるため……だけど、


裏目標は、カケちゃんに告白するため。




< 302 / 401 >

この作品をシェア

pagetop