【完】彼を振り向かせる方法
どうしよう……改めて意識しだしたら、妙に緊張してきた。
尻無浜くんがいなくなったってことは、これから2人きりなわけで……。
散々頭の中でシミュレーションしてきたのに、今ではそんなもの全く役に立たない。
カケちゃんは私に好きだと言ってくれた。
たった二文字……それを言葉にするまでに、どれほどの勇気がいるのか。
「よっと、お待たせ」
緊張で気持ちをピンと張っていたせいか、カケちゃんが部屋に戻ってきた瞬間、驚いて肩を上下してしまった。
「あ、お、おかえり……」
「ん、ただいま」
熱を冷ますこともできないまま、カケちゃんに視線を向ける。
すると彼は優しく微笑んでくれた。
不思議……。その表情を見ると、張っていた緊張の糸が少し緩まる気がするの。
カケちゃんの笑顔って、マイナスイオンでてる?
「ヒロチーこれ、お菓子。よかったら食べて」
ポーッと彼の笑顔に浸っていると、カケちゃんは私の隣に座って、
クッキーやチョコレートが並べられたお皿を机の上に置いた。