【完】彼を振り向かせる方法





どうしよう……改めて意識しだしたら、妙に緊張してきた。



尻無浜くんがいなくなったってことは、これから2人きりなわけで……。


散々頭の中でシミュレーションしてきたのに、今ではそんなもの全く役に立たない。



カケちゃんは私に好きだと言ってくれた。


たった二文字……それを言葉にするまでに、どれほどの勇気がいるのか。




「よっと、お待たせ」


緊張で気持ちをピンと張っていたせいか、カケちゃんが部屋に戻ってきた瞬間、驚いて肩を上下してしまった。




「あ、お、おかえり……」


「ん、ただいま」



熱を冷ますこともできないまま、カケちゃんに視線を向ける。


すると彼は優しく微笑んでくれた。



不思議……。その表情を見ると、張っていた緊張の糸が少し緩まる気がするの。

カケちゃんの笑顔って、マイナスイオンでてる?





「ヒロチーこれ、お菓子。よかったら食べて」


ポーッと彼の笑顔に浸っていると、カケちゃんは私の隣に座って、


クッキーやチョコレートが並べられたお皿を机の上に置いた。





< 303 / 401 >

この作品をシェア

pagetop