【完】彼を振り向かせる方法
「ヒロチーが好きなお菓子分からなくてさ」
なんて、至近距離で照れ笑いするカケちゃん。
さっきまでは扉の前の場所に座っていたのに、今はどうしてか私の隣にいる。
それも、少し動けば肩が触れ合ってしまう距離。
「あ、ありがとう。わざわざ買いに行ってくれたんだ……!」
カケちゃんの目も見れないし、しどろもどろだよ……。
「うん。まぁしなしーがいるときに出すの忘れちゃったんだけどさ」
息が……息が耳にかかる。
2人きりだって意識すればするほど顔は火照るし、身体は熱く痺れるような感覚に陥る。
「しなしー、4歳の妹がいてさ……それで、今日は保育園のお迎えを頼まれてたんだって」
「へ、へぇ……」
「母ちゃんから電話が来るまで忘れてたらいしけど。あいつらしいよな」
クスッとカケちゃんが笑うのと同時、
触れるか触れないか、微妙な位置にあった肩が不意にしっかりと触れ合った。
ドキンッ……。
鼓動が荒波を立てる。
私だけなのかな……こんなに、意識してるの。