【完】彼を振り向かせる方法




ピクンッ……。

ほら、やっぱり正直だ。


私の肩は、彼の指の動きに合わせて上下に揺れた。



カケちゃんはというと、クイッと口の端を持ち上げて、なんだか少し意地悪な表情をしている。



まるで、答えを急かすように。



「これ……」



え……?

いきなり私の頬を見据えて、目を見張ったカケちゃん。



「どう、したの?」


「傷……ヒロチー、怪我してる」


「えっ……」


すっかり忘れていた。

昨日先輩に平手打ちをされた場所のこと……。


昨日の夜に湿布も絆創膏も貼ったけれど、やっぱり一晩じゃあ、完全には治らなかった。


それでも髪の毛で隠れる範囲だったし……

まさか、カケちゃんにそこを触られるなんて、思いもしなかったから。




< 310 / 401 >

この作品をシェア

pagetop