【完】彼を振り向かせる方法
ピクンッ……。
ほら、やっぱり正直だ。
私の肩は、彼の指の動きに合わせて上下に揺れた。
カケちゃんはというと、クイッと口の端を持ち上げて、なんだか少し意地悪な表情をしている。
まるで、答えを急かすように。
「これ……」
え……?
いきなり私の頬を見据えて、目を見張ったカケちゃん。
「どう、したの?」
「傷……ヒロチー、怪我してる」
「えっ……」
すっかり忘れていた。
昨日先輩に平手打ちをされた場所のこと……。
昨日の夜に湿布も絆創膏も貼ったけれど、やっぱり一晩じゃあ、完全には治らなかった。
それでも髪の毛で隠れる範囲だったし……
まさか、カケちゃんにそこを触られるなんて、思いもしなかったから。