【完】彼を振り向かせる方法
「雛水って……もしかして、雛水陸くん?」
「んー。名前は知らないけど、黒髪のイケメンさん」
なんて言いながら、校舎の方をキョロキョロと見渡してみる。
俺が探している人、雛水陸。すなわち、ヒロチーの元彼なわけだ。
「キミって雛水くんの友達なの!?」
「いや、そうじゃな……」
「やっば~!リアル類友~!」
「え……なんすかそれ」
俺が眉をひそめようとも、キャーヤバイー!としか言わない女の子たち。
って……なんか、女の子の量増えてない?
軽く10人くらい……?
「ねぇキミ、このあと暇?」
集る女の子たちを見渡している最中、巻き髪の色っぽい子が俺の肩に手を添えた。
「はい?」
「人探し、手伝ってあげるから……そのあと、お礼にお茶してよ」
グロスに厚塗りされた唇が、俺の耳元にチョンと触れた。
近い近い近い。
口の下の小さなホクロが見えてしまうほどに、そりゃもう近い。