【完】彼を振り向かせる方法
あぁぁぁ、ふざけんなよ俺。
今思い出すなよバカ……。
なんつーの?あのとき感じた妙な感覚……。
こう、ムラッと。
男の中の何かを掻き立てられたような感じ。
ヒロチーから告白されて、とりあえず最初は戸惑っていて……だけど気付いたら、唇を思いきり重ねていた。
いつもは聞くことのない彼女の甘い声に、俺の脳みそが溶かされていくみたいだった。
そんくらい、熱くて、熱くて、愛おしくて、何も考えらんなくなってた。
舌を入れる一歩手前でも、我に返ってよかったマジで。
ただ、そのあとで『またしてね』とか言うから、相当我慢しちゃったよね。
色々。まぁ、色々。
次は本当に、するよ…………俺のブレーキが、利くところまでなら。
「ふぅ……って、アレ」
シーン。
さっきまでの騒ぎが嘘だったことのように、いつの間にか目の前は閑散としていた。
回想に浸っている間に、みんな帰ってしまったらしい。
おそらく、あの彼女に向けた言葉を聞いて。