【完】彼を振り向かせる方法




それか、お腹空いちゃったのかな?


無理もない。俺だってそろそろ限界だ。


後ろを振り向いて、校舎の頂上に掲げられている時計を見る。



「もう1時か……」


始業式が終わってから、電車に乗ってここまで来た。

たった1駅なんだけどね。


本当は、ヒロチーと一緒に帰りたかったよ。



……けど今日だけ。

どうしても、あの人に会っておきたい。




俺は気持ちを引き締め直して、校舎から出てくる人たちの顔を一人一人チェックしていく。



あんだけのイケメンさんなら、すぐわかると思うんだけど……。



なんて、目を凝らしていると



「あ……」



いた。生徒玄関から、欠伸をしながらこちらに向かってくる。


駅のホームで見かけた顔と、段々と近づくその顔が、頭の中で重なった。





「あの、雛水さん……ですか?」





< 320 / 401 >

この作品をシェア

pagetop