【完】彼を振り向かせる方法




彼が門を出たところで、俺はすかさず声をかけた。




「……誰?」


質問には答えず、怪訝そうに顔を歪めるイケメン。




「あー……えっと俺、大地翔と申します。ヒロ……千紘の、彼氏です」


カァァァァァ……。


ははは、なんだこれ。なんだよこれ。

『ヒロチー』と呼び慣れてるせいなのか、顔から火が出る勢いで熱い。


リハビリ、してくりゃよかったかも。



「あぁ」



後悔の念を募らせていると、雛水さんは無表情でそう言った。


『あぁ』って、やっぱり……。




「知ってたんすね」


さっきまでの雑念を振り払って、雛水さんを見据えた。


それと同時に、下校する生徒がチラチラとこちらに目配せしてくるのがわかる。


女の子の集団は特に、目を輝かせながら。





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