【完】彼を振り向かせる方法
「千紘が涙を流すくらいに惚れた、キミの顔」
フッと笑い、雛水さんは俺に背を向けた。
「じゃあ……」
「ちょっと陸ー!?」
だけど、俺の後ろから響くその声のおかげで、もう一度振り返った。
俺もつられて後ろを向く。
するとそこには、スクールバッグを揺らしながら駆け寄る女の子の姿。
陸って……雛水さん?
案の定、彼女は俺の横を素通りして、雛水さんの腕にアタックした。
頭っから。
……猪かよ。
「今日は一緒に駅前のスイーツバイキング行くって約束したじゃん!なに先帰ろうとしてんのよアホ!!」
のど自慢大会かって、思わずツッコミそうになるほどデカイ声。
周りの野次馬も、その声に圧倒されてそれぞれ散っていく。
顔は美人でおしとやかって感じなのに、すっごいなぁ……。