【完】彼を振り向かせる方法
「カケちゃんも選抜メンバーだから、がんばってね。応援してる」
クスッと笑ってしまったあとで、宥めるように私はそう言った。
そして、同じ紙に"大地翔"と書く。
この一連の作業は、体育祭実行委員となった私のお仕事だ。
タイムの速い人たちだけを選抜して、走順を決めるやつ。
とりあえず最初は、こうしてメンバーの選抜だけを行っているの。
順番はあとから決めるんだ。
「ほんと?応援してくれんの?チアで?」
パラパラと名簿をめくる私の顔を、不意に覗き込むカケちゃん。
彼は実行委員ではないんだけど、私に付き添ってくれてる。
一緒に帰りたいからって……。
嬉しいんだけど、申し訳ないような。
だって本当は、私と一緒に委員やってるのはクラスメートの神崎くんだから。
あいにく、彼は今日熱が出て欠席してたから、その分を少しカケちゃんに手伝ってもらってる。