【完】彼を振り向かせる方法
「おーいヒロチー、届いてるか〜?」
「えっ、あ……ごめん、なんだっけ?」
ペンを止めてまで回想に浸っていた私。
我に返ったのは、カケちゃんの呼びかけの後だった。
「チアだよ、チア」
「え?」
チアって、チアガールのこと?
大体の意味を頭に浮かべながらも、私は首を傾げた。
「俺のこと応援するのに、チアやってくれる?」
「えっ……」
奥深い笑みを向けるカケちゃんに、思わず戸惑う私。
いや、応援するとは言ったけど、チアガールって……。
露出の高いノースリーブのトップスを着て、短いスカートを身に纏う、アレだよね?
「ヒロチーのチア……かわいーだろうなぁ」
「そ、は、え……⁉︎」
「そしたら俺、しなしーよりいいタイムで走っちゃうよ?」
グイ……そして近づく、彼の瞳。
この瞬間。
いつも、カケちゃんが私に近づくこの瞬間に、
瞳孔がパッと開いて、キュンと胸が締まるんだ。