【完】彼を振り向かせる方法
彼の唇が近づくのに比例して、大きくなる心臓の鼓動を押さえながら、
私も彼の頬にそっと、手を添えた。
熱い……。
カケちゃんのほっぺ……きっと私と同じくらいに、熱いよ。
そんなことがいちいち愛おしい。
私はここが教室であることも忘れて、ゆっくりと目を瞑った。
その瞬間、
「あれ、千紘ちゃん!?」
ガラッと扉が開いて、1人の女の子の声が教室中に響いた。
「わっ……」
び、びっくりした……。
私は閉じたばかりの瞼を持ち上げて、カケちゃんから飛び退いた。
「千紘ちゃんも居残りしてたんだぁ!私も今帰るところなの」
そう言って、私たちが座っている席の方へ向かってくる、セミロングヘアの女の子。
色の白い、どこかの国のお姫様。
私が前会ったとき、彼女に感じた第一印象だ。
近くで見ると、瞳の色素が少し薄いのが分かる。
外国の血が混ざってるのかなぁと思ったけれど、本人曰く、純日本人なんだとか。