【完】彼を振り向かせる方法



知り合い?と聞こうとしたけれど、少し立ち止まる。


「そうだよね、カケちゃんも同じ中学だもん……知ってるよね」


"翔"と呼んだ穂乃香ちゃんにやきもきしながらも、

平然とした素振りでカケちゃんを見据えた。



「あぁ……うん」



いつもなら『そうそう!久しぶりだよなぁ、元気してた?』なんて、

カケちゃんだったらそう返すはずなのに、今回ばかりは例外らしい。



ニコニコとカケちゃんを見つめている穂乃香ちゃんに対して、

彼は穂乃香ちゃんが来てからずっと、俯き加減だ。



微笑んでいる穂乃香ちゃんを見ても、2人の間に漂う空気はいいとは言えなかった。



なにか、あったのかな……。


私の知らない、どこかで。




……って、やだなぁこれ。

私、妬いてるみたいじゃん。



「翔は、選抜リレー出るの?」


すると突然、穂乃香ちゃんが腰をかがめて、カケちゃんを上目遣いで見上げた。



< 338 / 401 >

この作品をシェア

pagetop