【完】彼を振り向かせる方法




もしまだ、穂乃香ちゃんにカケちゃんへと気持ちが残っていたら……


って……考えすぎ、かな。



元彼女だってことも、確かめてすらいないのに。



「千紘ちゃん?」


「ん……?」



俯きながら廊下を歩いていると、穂乃香ちゃんが私の顔を覗き込んできた。



「なんか、考え事してるの?大丈夫?」


「あ……いや、うん。ちょっとね」



愛想笑いをしながら言葉を濁す私。


その間、2人しかいない廊下に、2つの足音がこだまする。



聞けるわけない……カケちゃんと付き合ってたの?なんて……。



「ねぇ、もしかして、私と翔のこと……考えてる?」



こだまに紛れた小さな声の方に、思わず視線を向けた。



「隠すのは嫌だから、先に言っておくね……私、翔と付き合ってたんだ。中学のとき」



その瞬間、どうしてか足を止めてしまった。



わかっていたはずなのに。


それなのに、胸の内がさっきよりもずっとうるさい。



< 341 / 401 >

この作品をシェア

pagetop