【完】彼を振り向かせる方法
「……よっ」
そこへ向かって小走りする私に、彼は手をひらひらと振った。
そしてその目線は私の後ろに向けられて、その瞬間、カケちゃんの顔がまた曇り始める。
穂乃香ちゃん、か……。
「なんだー、翔帰ってなかったの?」
私の隣に位置つけた穂乃香ちゃんは、カケちゃんに向かってそう言った。
「……まぁね。この時間に彼女1人で帰せないじゃん」
当たり前のようにそう言うカケちゃん。
うそ……私のために、待っててくれたの……?
彼の言葉を聞いた瞬間、全身が熱くなるのを感じた。
どうしよう、人前なのに、顔真っ赤になっちゃう……。
「……なるほどねぇ」
このとき恥ずかしさで俯いていた私は、
穂乃香ちゃんが頷きながらこちらを見据えているのに、全く気付かなかったんだ。