【完】彼を振り向かせる方法





「……よっ」


そこへ向かって小走りする私に、彼は手をひらひらと振った。


そしてその目線は私の後ろに向けられて、その瞬間、カケちゃんの顔がまた曇り始める。



穂乃香ちゃん、か……。




「なんだー、翔帰ってなかったの?」


私の隣に位置つけた穂乃香ちゃんは、カケちゃんに向かってそう言った。



「……まぁね。この時間に彼女1人で帰せないじゃん」



当たり前のようにそう言うカケちゃん。


うそ……私のために、待っててくれたの……?



彼の言葉を聞いた瞬間、全身が熱くなるのを感じた。

どうしよう、人前なのに、顔真っ赤になっちゃう……。




「……なるほどねぇ」



このとき恥ずかしさで俯いていた私は、

穂乃香ちゃんが頷きながらこちらを見据えているのに、全く気付かなかったんだ。







< 344 / 401 >

この作品をシェア

pagetop