【完】彼を振り向かせる方法
―――――――……。
委員会が終わり、私は穂乃香ちゃんと一緒に静まり返った廊下を歩く。
昨日と同じように、天井に二つの足音がこだました。
廊下の窓から見える景色は、オレンジ色に染まっていて、夕暮れを知らせている。
委員会、長引いたもんなぁ……。
「千紘ちゃんとこの神崎くん、また欠席なの?」
疲れ切った身体を伸ばしていた私に、穂乃香ちゃんはそう聞いた。
「え、あぁそうそう。夏風邪らしいよ」
「そっかそっかぁ、それじゃあ仕方ないね」
神崎くんが休みなせいで、うちのクラスのチーム割とかは今、私が1人でやっている状態。
ほんと、早く風邪治して来てくれないかなぁ……。
「そういえばさ、また翔待ってるの?」
ハァ、と小さくため息をついた私に、彼女は首をかしげて言った。