【完】彼を振り向かせる方法
好きになれば好きになるほど、単純になるのかな。
でも、それでもいいや。
「私も……好き」
こうやって、不意に見せる彼の可愛い表情が拝めるなら。
どんな表情かって?
ごめんなさい、それはちょっと秘密にさせて。
なんたって、独占欲と嫉妬心の強い、ダメダメな彼女ですから。
「んっ……」
そんなことを思いながら小さく笑うと、
『俺のことだけ考えて』と言うように、唇をチュッと吸われる。
唇を閉じたまま漏れる声が、まるで自分じゃないみたい。
だけど、それもいいのかな……カケちゃんの前だけなら。
心の内で呟いた後で、私は首筋に少しの痛みを感じる。
カケちゃんも同じことを思ってくれているんだってことを、実感した瞬間だった。