【完】彼を振り向かせる方法
アナウンスが耳に入った瞬間、私たち黄色チームは盛大な歓喜に包まれた。
グラウンドから応援席に帰ってくる途中、
「ひゃっほー!!」
と、ガッツポーズを見せて喜びをあらわにする尻無浜くん。
額に流れる汗が太陽に反射して、キラキラと輝いて見えた。
黄色の100メートルの走者、やっぱり最速の尻無浜くんにして正解だったな……。
「しなしー、喜んでるのはいいけど、早く選抜リレーの徴集いかないと!」
喜ぶのも束の間、一人の女の子が尻無浜くんにそう急かす。
そう、早くもラストを飾る色別対抗の選抜リレーが、
2つあとのプログラムに迫っていた。
体力を温存してもらいたいけれど、そんな暇はない。
私も……準備をしなきゃ。
リレーじゃなくて、応援のね。
あと……。
私は思いを胸に、拳を握りしめている彼のもとへ向かった。