【完】彼を振り向かせる方法
「カケちゃんっ」
「え……あぁ、ヒロチー……」
ふぅーっと一息ついて、応援席から立ちあがった彼は、少し緊張気味だった。
それもそのはず、
カケちゃんは、この選抜リレーのアンカーなんだ。
尻無浜くんをアンカーにするか、クラスで二番目にタイムの早い、カケちゃんにするか……。
実行委員の私と神崎くんは、悩みに悩んで、カケちゃんに。
100メートル走の直後では、尻無浜くんがアンカーとして全力を出し切るのは難しいんじゃないか……
そういう見解で、私たちは決めた。
「ヒロチーさ、ちょっといい?」
「え?」
かける言葉が見つからず、黙っていた私に彼は、耳元でこういった。
「一位になったら、一つだけお願い聞いて」