【完】彼を振り向かせる方法
カケちゃんの体温が離れるのと同時に、
少しの間シャットアウトされていた声援が耳に響いた。
目の前から遠ざかっていく背中。
そして、彼は頭の後ろで黄色いハチマキを結んでいた。
手、震えてる……。
私は、「カケちゃん!」とその後ろ姿に叫んだ。
声が届いたのか、大衆の中で彼が私を振り向く。
「私、応援してるから……!」
それだけ言うと、カケちゃんはニッと満面の笑みを浮かべて、グーサインをこちらに向けた。
頑張れ。
他人行儀に聞こえる言葉だけれど、心から私はそう思ってる。
頑張れ、カケちゃん!みんな、頑張れ!
目を思いきり瞑ってそう祈った後、私はすぐさま応援の準備に取り掛かった。