【完】彼を振り向かせる方法
「ん?」
「だから、そのカッコするって知ってんの?」
なるほど、そういうことね。
光波っていっつも主語なくすから、なに言ってるか分からないときが結構ある。
もっと文法まもって話そうよっていう……。
「知らないよ。これは実行委員だけの秘密だったから」
言うにも言えなかったし……恥ずかしくて。
「席の一番前に立って応援、すんだよな?」
「あぁ、うん……委員の人たちはみんなそうだよ」
応援席の一番先頭に立って、もちろん全力で。
チームのためにも、カケちゃんのためにもね。
「ふーん、まぁ……楽しみにしとくわ」
ん……なにを?
ニヤッと久々に炸裂した光波の怪しい笑みに、首を傾げたその瞬間、
『さぁ、いよいよ始まります!ラストを飾る、大一番!色別対抗、選抜リレー!!』
身を奮い立たせるアナウンスが、グラウンドに流れた。