【完】彼を振り向かせる方法
あれ……いまなんか、少し立ち止まった?
そう思ったのも束の間、また視線を前に向けて、指定されたところまで歩きだすカケちゃん。
なんだったんだろう……。
結局分からず仕舞いのまま、リレーは幕を開けた。
第一走者から第七走者まで、それぞれ位置に着く。
奇数走者はグラウンド南、偶数走者はグラウンド北。
アンカーのカケちゃんは、みんなの倍、400メートルを走らなくちゃいけない。
グラウンド北側にある応援席から、彼のいる場所までは少し遠いけれど、
精一杯応援するよ……!
「いちについて、よーい」
パンッ……!
右手に持ったメガホンを口元に当てたその瞬間、スターターピストルが合図を放った。