【完】彼を振り向かせる方法
「ちゃんと聞こえてたよ。ありがとな、ヒロチー」
何を隠そう、その正体はもちろんカケちゃんで。
周りの見せ物になっている。絶対。
私は恥ずかしくて、ドキドキして、俯いたままなんだけど……。
「か、カケちゃん……すごくかっこよかったよ……おめでと」
で、やっぱりこんな公の場でくっつくのは恥ずかしくて、顔を俯かせたままの言葉になってしまった。
「おー、よかった。俺の名前も呼んでくれて、嬉しかったよ」
「え、あ……」
そ、そういえば勢いで私……翔ー!って呼んでたっけ……。
真っ赤になる私をみて、ヒューヒューッとはやし立てる男子もいれば、
同じように赤面する女子もいる。
「でさ、1位になったらお願いあるって言ったじゃん?」
キラキラと光る汗のおかげで、より一層輝きを増す笑顔を、彼は向けた。