【完】彼を振り向かせる方法
「う、うん……そうだね、お願い」
私は少し前にカケちゃんと約束したことを、思い出して頷いた。
「言うよ?」
え……なんでわざわざ……。
そう考える間もなく、彼は大きく深呼吸をした後に、言ったんだ。
「何年後でもいい。……俺と結婚してよ、ヒロチー」
…………。
私の肩に手を添えて、頭を少し垂れるカケちゃん。
私だけではなく、周りのみんなもフリーズしたようだった。
「ごめん、こんなタイミングで。でももう絶対……他の男に渡したくないから」
二度も、同じように頭を下げる。
うそ…………。
引いたはずの涙は、また私の頬を伝った。