【完】彼を振り向かせる方法
「……うん、私も……渡したくない」
人に見られてるなんて、考えてる隙があるはずもない。
私は少し汗のにおいがする彼の胸に、思いきり飛び込んだ。
「きゃーっ!」
「ヒューヒューッ!誓いだ誓い!愛の誓いだー!」
我に返るまで、お祭り騒ぎになっている周りの声は全く入らなくて、
私は彼のそばでずっと、涙をポロポロと流していた。
「全く、ヒロチーは泣き虫だなぁ」
クスッと笑うカケちゃん。
何回目だっけ、こうやって笑われるの。
そのたびに、幸せな気持ちになるのも……何回目だっけ。
「皆んないるとこで公言したくて云っちゃったけど……これ、披露宴クラス全員招待しないとダメだな」
カケちゃんは困ったような嬉しいような、複雑な顔をしていた。