【完】彼を振り向かせる方法
「ヒロチー、ちょっとやってみていい?」
「……え?」
溢れだしそうな幸せに浸っていると、カケちゃんは皆には聞こえないように、言った。
「健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも……悲しみのときも…………
ごめん、緊張で途中から吹っ飛んだ」
頬をほんのり染めて、はにかむカケちゃん。
「クスッ、練習、してきてくれたんだ」
なんていうか、本当に嬉しくて、私はこっそり笑ったつもりだったんだけど、
「笑うなよなぁ」
カケちゃんにはバレてしまって、
「まぁ……本番までに覚えるとするか。2人で」
そんなことを言い出すから、やっぱりまた笑ってしまう。
だって、それ言うのって、牧師さんでしょ?