【完】彼を振り向かせる方法
「んじゃあ、頑張る」
満面の笑みをお見舞いして、テキストと真正面で向かい合う。
いま相当ご機嫌だよ、俺。
「ほーら。ヒロチー先生、お願いします」
「あ、う、うん」
俺が距離を詰めた後、ヒロチーはいつもこんな感じ。
なんか、放心状態になるというか……。
うぶな感じが全く抜けないんだ。
なーんて、悩みみたいに言っちゃってるけど、
本当は彼女の反応にかなり安心感を感じている。
慣れてない反応をされればされるほど、そりゃもう、嬉しい。
めちゃくちゃ嬉しい。
だって、つまり、いままでなかったってことじゃん。
キスも、手をつなぐのも、
ああやって、近距離で見つめるのも。
ハグは、あの……雛水さんにもってかれちゃったみたいだけど。