【完】彼を振り向かせる方法







それでもやっぱ……嬉しいんだよね。


俺が彼女の、初めてになれたって思えるのは。




だから出来れば……いや絶対に、俺が全部……。







「……っていうこと。わかった?」


「ん?」


「ここ。最後に全部足して、この数で割るの」


「なるほどね……オッケー。ありがとな」



教えてくれたお礼を込めて、彼女の頭をくしゃっと撫でる。


その瞬間、照れ笑いする彼女の唇に、自分のを重ねたくなる衝動を必死で抑えた。




全く……無防備は困る。

なんていっても、きっと通じない。


だって、俺が思っていたよりずっと、彼女は鈍感だったから。




「じゃあ……今度は俺1人で解くから、ヒロチー待ってて」



「わかった」




そして、これは俺への試練だ。


床に座りなおして、ペンをギュッと握った。




< 395 / 401 >

この作品をシェア

pagetop