【完】彼を振り向かせる方法
それでもやっぱ……嬉しいんだよね。
俺が彼女の、初めてになれたって思えるのは。
だから出来れば……いや絶対に、俺が全部……。
「……っていうこと。わかった?」
「ん?」
「ここ。最後に全部足して、この数で割るの」
「なるほどね……オッケー。ありがとな」
教えてくれたお礼を込めて、彼女の頭をくしゃっと撫でる。
その瞬間、照れ笑いする彼女の唇に、自分のを重ねたくなる衝動を必死で抑えた。
全く……無防備は困る。
なんていっても、きっと通じない。
だって、俺が思っていたよりずっと、彼女は鈍感だったから。
「じゃあ……今度は俺1人で解くから、ヒロチー待ってて」
「わかった」
そして、これは俺への試練だ。
床に座りなおして、ペンをギュッと握った。