【完】彼を振り向かせる方法
「あ、あ……ちょっと待っ……」
「え?なんで?」
グイッと距離を詰めながら、わざと素っ頓狂な声を出してみる。
もっと彼女の可愛い反応が見たいから。
って……性格悪いなぁ、俺。
少しの自己嫌悪と、彼女に触れられるという喜びとで、頭の中はごちゃごちゃだ。
それでも身体は、どうしてか器用に動く。
顎をクイッと掴んで持ち上げたり、彼女の耳元に息を吹きかけてみたり。
…………あ。
そしてそのとき、見つけてしまった。
この前……ヒロチーが家に来たときにつけてしまった、キスマーク。
これはたぶん、二回目の。
一回目は、体育祭の前……ヒロチーが珍しく迫ってきたときに、我慢できずにつけてしまったもの。
二回目のはたしか、二週間前くらいにつけたもの。
あれはヒロチーの家にお邪魔して……なんつーか……要するに、理性が吹っ飛んだ。