【完】彼を振り向かせる方法
自分でいうのもなんだけど、それなりに成績は良い。
まぁ……それだけが取り柄って言ってしまえば虚しいけれど。
実はここだけの話、こんな私でもひとつだけ自慢できることがあるんです。
「お、やっば。もういかなきゃっ」
テレビの画面に映るデジタル時計にせかされて、すぐに朝食を終える。
「いってくんねー」
「「いってらっしゃーい」」
お姉ちゃんとお母さんが声を合わせる。
私は入学祝いに買ってもらった、まだピカピカのローファーを履いて玄関を出た。
うわ、雨降ってるし…。
どんよりした空気を吸って顔をしかめる。
梅雨って、本当に嫌いだ。
カラッと乾いた陽気がとても恋しくなる。