【完】彼を振り向かせる方法
「……ふふっ、くすぐったい」
「ん?そう?」
俺の腕の中で小さく笑うヒロチーを見て、安堵する。
受け入れてくれてよかった、と。
ただ、これから先……もし、本気で耐えられなくなった時は、どうしようか。
その時は、俺の方が緊張で固まりそうだけど。
「カケちゃん……その……大好きだよ」
俺の胸の中から、篭った声が聞こえる。
ああ……ほんと、無垢って怖い。
案外、"その時"が訪れる日は、そう遠くないかもしれない。
ギューッと華奢な彼女を抱き締めながら、本能を縛った。
今日はもう、お預けだ。
END