【完】彼を振り向かせる方法
やばいなぁ…にやけとまんないなぁ…。
「お母さん、ほら見て。変でしょ千紘」
「ほんと、なに一人でニヤニヤしてんのかしら」
「えっろい妄想でもしてんじゃないの?」
「まさか…」
いい香りのする手首をニヤニヤしながら嗅いでいる私に、
影でヒソヒソと話すお母さんとお姉ちゃんの声は届かなかった。
そして電車のホーム。
先輩の姿はまだ見当たらない。
はりきってはやく来すぎたかな…。
おかげで一本前の電車の見送りまでしてしまった。
この香り…気づいてくれるかなぁ…。
「千紘。」
ボーッとそんなことを考えていると、後ろから低い声が響いた。