【完】彼を振り向かせる方法
「そうですけど…この香り、好きですか?」
「…好き」
ドキンッ。
なに私ときめいてるんだろう。
好きって、この香りのことなのに…。
そんな風に見つめられたら、余計に顔…熱くなってきちゃいます。
でも…嬉しいな。
先輩、気に入ってくれたんだ…。
カケちゃんにあとでお礼いっておかなくちゃ。
「…あ。」
「…??」
声に反応して先輩をみると、彼は電車の中の広告の一つをじっと見つめていた。
「先輩…これ、観たいんですか?」
「…うん」
私の方に目も向けず、広告に釘付けの先輩。
それは、来週土曜日公開の映画の広告だった。