【完】彼を振り向かせる方法
ま、間に合った…。
「よかったぁ…間に合って」
「別に、毎朝同じ電車じゃなくてもいいけど……」
息を整えている私を、隣りで呆れたように見つめるこの最高にカッコいい人は、
雛水陸(ひなみず りく)先輩。
お察しの通り……私の彼氏なんです!
これが私の……
好きで好きで、やっとの思いで付き合うことができたこの事実が、私の自慢だ。
「だって先輩と会えるの朝しかないし……」
そうなのだ。
実は先輩と私は学校が違うのです。
だから会えるのは朝のこの時間だけ……。
一つだけ救いなのは、
私の通う豊桜高校(ほうおう)と先輩の通う春桃高校(しゅんとう)の最寄り駅は隣同士だってこと。
だからと言って放課後にデートをすることや一緒に帰ったりすることもなく……