【完】彼を振り向かせる方法
「なぁ、アレって遅刻になったと思う?」
引き続き話を続ける先生を横目に捉えながら、
カケちゃんは後ろの男の子に聞いている。
周りの女の子はみんなカケちゃんの方を向いてクスクスと笑っていた。
だって、こそこそ話してるのに丸聞こえなんだもん。
「あれはアウトだろ。つか翔、お前また女の子連れ回してたのかよ。嫌味だよな〜」
「違うって言っただろーが…。
駅ついたら女の子がワンワン泣いてるから声かけて、
そしたら飼ってる犬が逃亡したっつーから一緒に探したげたの」
もちろんいまの台詞も丸聞こえなわけで、
クラス全員が「え?」と驚きの表情を浮かべている。
…ワンワン泣くって、そんな子供みたいなこと……
「なぁ翔。その女の子の年齢は?」
「んー。正確にはわかんないけど…7歳くらいだと思う」
その瞬間、クラス中が笑い声に包まれたなんてことは、言うまでもないよね。