【完】彼を振り向かせる方法
なぜかというと、それはいま隣で怠そうに欠伸をしている私の彼氏が
『帰りは一人がいい、めんどくさいし』
と言ったから。
確かにお互い別の高校で、帰り時間を合わせたりするのも大変だよね。
けどやっぱり、彼女としては少し寂しい。
ちょっとでいいから、私のことを欲してもらいたい……なんてね。
ガタンゴトン…。
そんな思いを巡らせているうちに電車が目の前に到着して、扉が開く。
そこから溢れるように出てくるたくさんの人たちの一人に私は肩を押され、
「わっ…?!」
フラついてしまった。
やばっ…このままだと転ぶ…!
そう覚悟を決めた瞬間、背中に誰かのぬくもりを感じた。
「危ないな……」
「先輩……!」
先輩は迷惑そうな顔をしながら、私の肩を後ろから支えてくれていた。