猫を撫でる。
しかし、17年前、美梨を傷付けた高部と今更、接触する機会などあるわけがない。
美梨が高部たちに『シメられた』ことは、あっという間に学年中の噂になった。
高部たちが自ら吹聴していた。
心配する仲良しグループの友達に、
美梨は『なんでもないよ。
ちょっと色々言われただけだから。』
と笑って誤魔化した。
母親には、シャツは自分の不注意で破いてしまったと言った。
切られて短くなったサイドの髪は、他の長い部分と一緒に掻き上げるようにしてゴムで括った。
それでなんとか誤魔化せた。
美梨は高部たちにまた呼び出しされることに、とても怯えていた。
奥田勇ともすぐに別れた。
そのことで高部は満足したのか、それ以降は何もいって来なかった。
美梨が涼太のアパートで朝食の片付けをしていると、美梨の携帯に着信がはいった。
和臣からのメールだった。
[おはよう、美梨。
こちらでの身辺整理の目処が付き、
再来週にはそちらへ戻ることが出来そうです。
もう少し寂しい思いをさせてしまうけど、許してね。
美梨はちゃんとパート行ってるの?]