俺とあたしがウソを吐いた日。
エピソード3 クラスメート
[灯汰side]
びっくりした。
何がって、色々あるけどまずは杏実がナンパされていたところに立ち会ったこと。
ナンパされていたことには疑問はないんだけどな。
中学生にはみえなくらい大人っぽいからある意味仕方がないんだ。
なによりも俺がびっくりしたのは、帰ろうとした俺の腕を杏実が強く掴んできたことだった。
「……え」
困惑した俺の声を聞き、カーッと杏実の顔が真っ赤に染まった。
「あ……!」
「何?」
やめろよ。
そんな顔されたら、期待、したくなってしまう。
必死で冷静な声を出すも、俺まで赤くなってしまいそうだ。