俺とあたしがウソを吐いた日。
「えっと、そう!
助けてくれて、ありがとう……」
「いや。別にいいよ」
なんだか直視できなくて、少し杏実から目を逸らした。
お礼なんて言われないと思っていた。
あの日から話してないのに、迷惑じゃねぇか? って。
でも、泣きそうになっている杏実を見たら、放っておくなんてできなかった。
せめて、と思い『クラスメート』って言ったけど、本音は『彼女』って。
言いたかった……!