俺とあたしがウソを吐いた日。
エピソード2 行かないで
[杏実side]
春休みに入ってしばらく経った、今日は四月一日。
あたしは買い物をしに、駅前に来ていた。
もうすぐ、あたしたちも中学三年生……。
受験生だなんて、憂鬱だな。
もう、あの年から。
灯汰と話さなくなった頃から三年が過ぎた。
思い出しても、後悔しかなかったあの日から灯汰とはほとんど話していない。
業務連絡ですらできる限り避けて。
去年はせっかく同じクラスだったのに、話したことは指で数えられるほどしかない。