君に逢いたくて~最後の手紙~
「お願いします」



ああ、もう無理だ。



ここまで言われると、
断れない。



向井君、私が頭下げられるのに
弱いって、知ってるのかな?




「うん…い、いよ」



私がそう言った途端、向井君は



頭をあげた。




向井君の目は大きく見開かれている。



まさか、私がこんなにあっさり
「いいよ」って言うとは
思っていなかったんだろな。



別に私は向井君が好きなわけじゃない…。



ただ…寂しかったんだと思う。



今はただ、1人で優斗を待ってるのが
……辛かった。




誰でもいいから、そばにいてほしいと
思ったんだ。



「…本当に?」



そりゃびっくりするよね。



私には忘れられない人がいるって、
向井君は知ってるもん。




「…うん」



「ありがとう‼」



目の前にいる向井君は
若干涙目になりながら、
すごく喜んでいた。



その後、2人でしばらく海を見て
家に帰った。


…高校1年生、4月。


私に初めての、彼氏ができた。
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