君だけに。



何も言わない心の表情は、

少し綻んで、目を細めて口角があがった。



不意討ち…
心が、教室で笑うなんて初めて。

優しくて、暖かい笑顔が、

私以外の誰かに見られるなんてイヤで

さっと、周りを見回した。





…大丈夫そう。誰も見てない。


私が笑い返すと、心はまた嬉しそうに
歯を見せて笑った。


好き…。
好きでいっぱい。


心…
苦しいよ…

その笑顔、苦しいくらい眩しくて。




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