君だけに。



帰り道、今日も香澄が
部活終わるのを待っててくれた。

「西川君、お疲れっ」

「うん」

「きゃーッ!今私 西川君と会話したぁーっっ」

「いいないいなっ!西川君!私とも会話して!」


香澄、どこだろ。

ん~、ちょっと邪魔…


……


香澄が、前崎と笑ってる。
きっとまた、冗談でも言ってんのかな…


「香澄ー」

でも。
小さい声でも、俺が呼んだら
香澄はどんなときでも

気付いてくれる。

前崎と喋ってたのに、急に会話を止めて
こっちまで走ってきた。

「心、お疲れ様!!」

「ん。」

ありがと。

「帰ろっか。」

前崎が近寄る前に、香澄の手を握った。


「またアイツ、西川君と手繋いでんじゃん!マジなんなの?」

お前の方がなんなの?

俺は振り向いて薄く睨んだ。

香澄をアイツ呼ばわりするとか、
何様なの。




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