不良の真ん中席
一ラウンド
不良の集まり方
こんにちは草薙 契(クサビチギリ)です。
今は人生のどん底よりちょっと上にいます。
ちょっとね。ちょっと。ほんのちょっと。
《契~ごめん。家にさあ財布ねえ?》
「ある。で?何?くれるの?」
《いやちがうって、忘れたからさ届けてくれねぇ?》
電話相手はもちろん兄の草薙 亮人。
「めんどくさーい。だるーい。どこー?」
《めんどくさいって言いながら届けてくれるんだな…
今日は海の近くの工場》
「廃墟された工場?。わかった今から行く~。飲み物用意しといてよね!」
《おー頼んだぞー》
私は電話を切って古ぼけたアパートを出た。
もちろん持ち物は自分の財布と兄ちゃんの財布だけ。
廃墟ってあそこだよね。
私は乗り遅れる前に電車に乗りぶらりぶらり
目的地に向かう。
【次は~峯草~峯草~】
目的地峯草に到着。兄ちゃんのいる廃墟の工場までは徒歩で五分。
私はダッシュで向かった。
人をパシリにするはやめてほしいんだけど。
そんなこと言ってもたぶん無駄だから言わない。
廃墟の工場の扉を開いた。
「お兄ちゃん?」
中は真っ暗でとても人がいそうな気配がない
うそっ場所間違えた?
「あれ?総長の妹さんじゃないですか?」
「あ!晶さん、よかった!今日ってここにお兄ちゃんいますよね?」
「いますよいますよ。」
暗闇の中から出てきたのは晶さん。
暴走族の一員で私ともとても仲がいい。
容姿はピアスに指輪や金髪で奇抜だけど中身はとっても優しい人なのだ!
と説明はさておき
「今日はお財布を届けに参りました」
「ご苦労様っすね。たぶん奥で大富豪やってますよ」
大富豪?それはリアルにやるんではなくトランプで?どんだけ暇なんだよ
この族は…。
「お兄ちゃんお財布いらないの~?」
「ん?契ー!!会いたかったぞ!!晶になんにもされてないか?ん?」
自分で言うのもなんだがお兄ちゃんは極度のシスコンであり
私も多少のブラコンである。
近所からはお兄ちゃんは不良なのにとても評判がいい。
いわゆるやんちゃ系男子、みたいな?
「あ、そうだ。飲むもん買っといたからな」
「ああ、ありがとって酒ばっかりじゃん!!わたしはジュースが欲しいの!」
「酒?んだと!誰だ酒ばっか買ってきたの!!」
挙手した一員に駆け寄っては肩を揺らし始めるお兄ちゃん。
その叫び声には
どうすんだよ!契に嫌われるじゃん俺!
ジュース買って来いよ!
とかとかいろんなことを叫んでいる。
「総長~心配しなくてもジュースも買っときましたよ」
「よくやった!!」
そんなこんなで私はジュースを口に入れ。
大富豪の行方を眺めていた。
「ん?契じゃんか。」
はい、契です。
じゃなくて!
「瞬、どぉしたの?」
「いや、久しぶりだなと思って」
「瞬はいない時に来てたけど?」
「そっか。ま、俺様に会いたくなったら何時でも飛んで行ってやるぜ?」
「飛んでそのまま落ちてしまえ」
瞬はアホだ。そんでもってバカだ。
でも美形だ、赤色と金色のメッシュはとても似合っていて
目は切れ長で二重、肌は白くてイケメン以外の何物でもない。
それに比べて私はだめな人だ。
「いいなあ、そんなに美形で。私は違うからなぁ」
「へ?だれが違うって?」
「私。二度言わせるのって嫌がらせですかー?」
瞬は一瞬固まって目を見開いていたバカがおのようなものだね。
「それ本気で言ってたら鏡見てこいよ。」
「なんで?」
「いやなんでもない。亮人さんも大変だな無自覚天然アホだと。」
「何それ!アホじゃないし!無自覚じゃないし!天然じゃないし!」
黙って聞いてれば変なこと言いやがって!
無自覚じゃないもん!しかも何に対して無自覚なのよ!
「その台詞を吐いてる時点で無自覚決定だから」
「うるさーい!」